「めまい」に悩む患者さんは原因がわからず、お困りの状態でご来院される方が多くおられますが、その原因の中で良性発作性頭位めまい症をはじめとする耳鼻咽喉科疾患が大多数を占めることはご存じでしょうか。
内耳には耳石という小さな石(炭酸カルシウム)があります。この石が何らかの理由で剥がれて三半規管に迷い込むと、頭を動かしたときにコロコロと石が転がり、三半規管が強く刺激され突然にぐるぐる回る激しいめまいや吐き気を引き起こします。これが良性発作性頭位めまい症と呼ばれる病気です。めまいを起こす疾患の中で最も多く、救急車で運ばれるめまい患者の2-3割はこの病気です。
「めまい」は目が回るとよく表現しますが、このような患者さんの目を見ると本当に目がクルクル回っています。このために赤外線CCDカメラを利用した特殊な検査用眼鏡を着けて検査を行い目の動き(眼振と呼びます)を観察します(赤外線フレンツェル検査)。眼振がどのような状態で出現するのか、また、その形はどのようなものなのかを詳細に判定して診断します。これがめまい診療の基本です。
めまい患者さんに対してしばしば投薬を行いますが、この方法では症状を抑えることはできても根本的な治療にはなりません。良性発作性頭位めまい症で最も有効なのは半規管に迷い込んだ石を除去するための特殊な運動療法(エプリー法など)を行うことです。これにより多くは比較的短期間に症状が軽快あるいは消失させることができます。
その他のめまい疾患についても追々情報を発信していきたいと思います。